「優先権」と「スタック」について学ぼう|MTG初心者が間違えやすいルールを徹底解説
マジック:ザ・ギャザリング(MTG)は、相手ターンにも行動できることが特徴のカードゲームです。
インスタントは自由なタイミングで唱えられる呪文ですが、自分と相手が同じタイミングでインスタントを使いたい場合、どのような順番で処理すればいいのでしょうか?

おたがいに『こっちが先だ!』と主張しあっていたら、ゲームが成り立たなくなってしまいますよね。
この問題を解決するために作られたのが、プレイヤーは「優先権」を持っているときにだけ呪文を唱えたり、能力を起動することができるというルールです。
MTGでは、この優先権がプレイヤー間を交互に移動しながらゲームが進行します。
この記事では「優先権」の詳しいルールと、呪文や能力の解決に使われる「スタック」領域について分かりやすく解説します。

「優先権」の概要
「優先権」とは呪文を唱えたり、能力を起動するための権利です。
ゲーム中は優先権を持っているプレイヤーだけが呪文を唱えたり、能力を起動することができます。
各フェイズやステップの開始時にターン起因処理(ルールに定められた処理)が発生し、誘発能力があればそれらを好きな順番でスタックに乗せます。その後、ターンを進めているプレイヤーは優先権を得ます。
ゲーム中は必ず一人のプレイヤーだけが優先権を持ち、権利をパスすると次のプレイヤーへ優先権が移行します。
すべてのプレイヤーが連続で優先権をパスすると、そのフェイズやステップが終了し、次のフェイズ(またはステップ)へ進みます。
「スタック」の概要
呪文は唱えられた瞬間に効果を発揮するわけではありません。
呪文や能力は一度、「スタック」と呼ばれる仮想の領域に置かれて解決を待ちます。

呪文や能力はスタック上に重ねられていき、すべてのプレイヤーが優先権をパスすると一番上のものが解決されます。(逆順処理)
呪文や能力が一つ解決されるたびに、ターンを進行しているプレイヤーは優先権を得ます。

詳しい手順は以下の通りです。
- メイン・フェイズへ移行。プレイヤーAは優先権を得る。
- プレイヤーAはコストを支払い、ソーサリー呪文Aを唱えた。
- ソーサリー呪文Aがスタック(1)に置かれる。
- プレイヤーAは優先権をパス。プレイヤーBに優先権が移る。
- プレイヤーBはコストを支払い、インスタント呪文Aを唱えた。
- インスタント呪文Aがスタック(2)に置かれる。
- プレイヤーBは優先権をパス。プレイヤーAに優先権が移る。
- プレイヤーAは優先権をパス。インスタント呪文Aが解決される。
- プレイヤーAは優先権を得るが、そのままパス。プレイヤーBに優先権が移る。
- プレイヤーBは優先権を得るが、そのままパス。ソーサリー呪文Aが解決される。
実際のゲームでは、上記手順はある程度簡略化されます。
例えば『○○を唱えたいです』と相手に伝えれば、通常は『そのまま優先権をパスしますが、対応して何か唱えますか?』という意味で受け取られます。
対戦相手が『どうぞ』と言えば『対応して唱える呪文はありません。スタックにある呪文を解決してください。』という意味です。
優先権のやり取りは一見複雑ですが、慣れてしまえばスムーズに行うことができます。
優先権が発生するタイミング
それでは実際のターン中に、優先権が発生するタイミングを確認していきましょう。
優先権は(アンタップ・ステップ、クリンナップ・ステップを除いた)各フェイズやステップでのターン起因処理の後に発生します。
- 次のフェイズやステップに移行
- ターン起因処理(ルールに定められた処理)の解決
- 『~開始時に』誘発する能力がスタックに乗る
- ターンを進めているプレイヤーが優先権を得る
この①~④までの流れが基本になりますので覚えておきましょう。
①:開始フェイズ
- アンタップ・ステップ(優先権なし)
- アップキープ・ステップ
- ドロー・ステップ
開始フェイズは3つのステップに分かれており、アンタップ・ステップ以外のステップで優先権が発生します。
アンタップ・ステップ
ターン起因処理として、すべてのコントロールしているパーマネントをアンタップさせます。
アンタップ・ステップ中は優先権を得られないため、『アンタップ状態になるたび』と書かれた能力がある場合、次のステップの開始時(通常はアップキープ・ステップ)にスタックに乗ります。
アップキープ・ステップ
アップキープ・ステップには、ターン起因処理はありません。
『アップキープの開始時に』と書かれた能力があれば、それらの誘発した能力を好きな順番でスタックに乗せ、その後ターンを進めているプレイヤーは優先権を得ます。
ドロー・ステップ
ターン起因処理として、ライブラリーからカードを1枚引きます。
『ドロー・ステップの開始時に』と書かれた能力があれば、それらの誘発した能力を好きな順番でスタックに乗せ、その後ターンを進めているプレイヤーは優先権を得ます。
②:戦闘前メインフェイズ
戦闘前メインフェイズでは、ターン起因処理はありません。
『戦闘前メイン・フェイズの開始時に』と書かれた能力があれば、それらの誘発した能力を好きな順番でスタックに乗せ、その後ターンを進めているプレイヤーは優先権を得ます。
③:戦闘フェイズ
- 戦闘開始ステップ
- 攻撃クリーチャー指定ステップ
- ブロック・クリーチャー指定ステップ
- 戦闘ダメージ・ステップ
- 戦闘終了ステップ
戦闘フェイズは5つのステップに分かれており、すべてのステップで優先権が発生します。
戦闘開始ステップ
戦闘開始ステップでは、ターン起因処理はありません。
『戦闘の開始時に』と書かれた能力があれば、それらの誘発した能力を好きな順番でスタックに乗せ、その後ターンを進めているプレイヤーは優先権を得ます。
攻撃クリーチャー指定ステップ
ターン起因処理として、攻撃クリーチャーの指定を行います。
攻撃するクリーチャーは、そのターンのはじめからコントロールしているか「速攻」を持っている必要があります。(召喚酔いしていない状態)
『攻撃するたび』と書かれた能力があれば、それらの誘発した能力を好きな順番でスタックに乗せ、その後ターンを進めているプレイヤーは優先権を得ます。
ブロック・クリーチャー指定ステップ
ターン起因処理として、ブロック・クリーチャーの指定を行います。
ブロックするクリーチャーは、アンタップ状態である必要があります。(召喚酔いでもOK)
『ブロックするたび』と書かれた能力があれば、それらの誘発した能力を好きな順番でスタックに乗せ、その後ターンを進めているプレイヤーは優先権を得ます。
戦闘ダメージ・ステップ
ターン起因処理として、戦闘に参加した各クリーチャーが戦闘ダメージを与えます。
①攻撃側プレイヤー②防御側プレイヤーの順にダメージの割り振りを宣言し、すべてのクリーチャーが同時に戦闘ダメージを与え合います。
タフネス以上のダメージを受けたクリーチャーや、忠誠度が0以下になったプレインズウォーカーがいれば、それらが破壊され墓地に置かれます。
- 戦闘ダメージを与えるたび
- このクリーチャーが死亡したとき
- 戦場から墓地に置かれたとき
- 戦場を離れたとき
と書かれた能力があれば、それらの誘発した能力を好きな順番でスタックに乗せ、その後ターンを進めているプレイヤーは優先権を得ます。
戦闘終了ステップ
戦闘終了ステップでは、ターン起因処理はありません。
『戦闘終了時に』と書かれた能力があれば、それらの誘発した能力を好きな順番でスタックに乗せ、その後ターンを進めているプレイヤーは優先権を得ます。
④:戦闘後メインフェイズ
戦闘後メインフェイズでは、ターン起因処理はありません。
『戦闘後メイン・フェイズの開始時に』と書かれた能力があれば、それらの誘発した能力を好きな順番でスタックに乗せ、その後ターンを進めているプレイヤーは優先権を得ます。
⑤:終了フェイズ
- 終了ステップ
- クリンナップ・ステップ(優先権なし)
終了フェイズは2つのステップに分かれており、終了ステップでのみ優先権が発生します。
終了ステップ
終了ステップでは、ターン起因処理はありません。
『終了ステップの開始時に』と書かれた能力があれば、それらの誘発した能力を好きな順番でスタックに乗せ、その後ターンを進めているプレイヤーは優先権を得ます。
クリンナップ・ステップ
クリンナップ・ステップでは、以下のターン起因処理が行われます。
- ターンを進めているプレイヤーは、手札の上限枚数(7枚)になるまでカードを捨てる。
- パーマネントが受けていたダメージが、すべて取り除かれる。
- 『ターン終了時まで』や『このターン』と書かれた能力の効果を終了する。
ここまでの処理を終えたらそのターンは終了し、次のターンの開始フェイズが始まります。
ただし①~③までの処理で、
- タフネスへの修整が失われたことで、死亡したクリーチャーの能力が誘発した
- カードを捨てたことで能力が誘発した
ターン起因処理によって能力が誘発した場合は、それらを好きな順番でスタックに乗せ、その後ターンを進めているプレイヤーは優先権を得ます。
まとめ
- 優先権は、呪文や能力を使うための権利
- 積まれたスタックは逆順に処理していく
- 優先権を得るのはターン起因処理の後
- クリンナップ・ステップに優先権を得る場合もある
初心者の頃につまづきやすい優先権のルールですが、仕組みを理解してしまえばそれほど難しいものではありません。
重要なのは「いま何をしているのか」と「どうしたいのか」を、しっかり相手に伝えることです。
カードゲームは対戦相手がいてこそ成り立つゲームです。
気持ちよくゲームをするためにも、明確なコミュニケーションを心がけてプレイするようにしましょう!
